2012年6月5日
アンケート実施結果【前半】
アンケート実施結果【後半】
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(1)利用者様の安全管理、見守り等の対策
安全管理の有無 | 人数 |
---|---|
とっている | 63 |
とっていない | 37 |
合計 | 100 |
具体的な安全管理 | 人数 |
---|---|
センサの設置 | 29 |
スタッフによる見守り | 26 |
コールの設置 | 5 |
モニターの設置 | 3 |
防犯ブザーを利用 | 2 |
その他 | 7 |
合計 | 72 |
利用者の安全管理に関しては、63%の施設が「何らかの安全管理を行っている」と回答している。しかし、小規模の施設においては、スタッフによる見守りというような、人手による解決策が多い。使用している設備については、センサの設置が多数を占めている。
(2)リハビリ対策の有無
リハビリ対策の有無 | 人数 |
---|---|
はい | 81 |
いいえ | 19 |
合計 | 100 |
80%を超える施設が何らかのリハビリ対策を行っている。いいえを選んだほとんどの施設は「行いたいけどもスタッフがいない」という回答であった。
(3)リハビリ対策の内容
リハビリ対策の内容 | 人数 |
---|---|
専門スタッフを採用し、毎日リハビリメニューをこなしている | 28 |
専門スタッフはいないが、毎日担当が入れ替わりリハビリメニューをこなしている | 27 |
非常勤スタッフを採用し、定期的にリハビリメニューを取り入れている | 12 |
外部講師にお願いし、定期的にリハビリメニューをこなしている | 6 |
その他 | 6 |
合計 | 79 |
(4)自立促進対策の内容
自立促進対策の内容 | 人数 |
---|---|
できるところは手を出さない | 47 |
リハビリの充実 | 17 |
施設の仕事を役割分担 | 12 |
レクリエーションの促進 | 12 |
利用者のやりたいことを促進 | 10 |
特になし | 6 |
一部の生活を自己解決 | 5 |
個別対応 | 3 |
できることを増やしていく | 3 |
その他 | 1 |
合計 | 116 |
自立促進の対策としては、できるところは手を出さない介護を多くの施設で実施している。回答の中には「利用者様のADL※を把握し、できるところはしていただくようにする。しかし、これだけでは不十分であり、リハビリスタッフや介護スタッフ同士でもっと情報や方策を共有するべきだと考えています。時間が無いと、必要以上に手を出してしまう面はある。」との意見もあった。また、施設の洗濯、炊事、清掃といった仕事を利用者にも役割分担して行ってもらっているという施設もあった。対策が充分進んでいる施設に関しては、リハビリ、レクリエーションを充実、促進させる対策や個々の利用者に寄り添い、やりたいこと、できることを増やしていくという方法をとる施設も多くみられた。
(自由回答欄における具体的な回答の抜粋)
【自立を促進する対策】- レクリエーションの一貫でお買い物レクなど外出の機会を設け、本人に次は何をしたいか、個別の目標に向かって意欲的に行えるよう指導している。
- 少し頑張ると達成できるような事を提案し達成できたらまた少し上の目標を提案していく。
※ADL(Activities of Daily Living:日常生活動作):食事や着替え、移動、排泄、入浴など日常生活に最低限必要な基本的動作
(5)入浴・排泄介助にかかる時間
入浴時間(1人) | 人数 |
---|---|
25~30分 | 17 |
15~20分 | 15 |
20~25分 | 14 |
10~15分 | 10 |
35~35分 | 8 |
5~10分 | 2 |
その他 | 2 |
合計 | 68 |
排泄時間(1人) | 人数 |
---|---|
5~10分 | 32 |
0~5分 | 31 |
10~15分 | 10 |
25~30分 | 3 |
15~20分 | 1 |
20~25分 | 0 |
その他 | 3 |
合計 | 80 |
入浴を楽しみにされている利用者も多く、時間をとっている施設では、1人につき20分以上かけてサービスを行っている。しかし、施設によっては、十分に利用者の要望を満たせず、時間が足りないと感じている施設も多い。利用者の人数と、狭い入浴スペースを考えると入浴介護に1日のほとんどの時間をかけていることもある。それは、介護従事者にとってかなり重労働になっていることが想定される。
なお、排泄介助については、ほとんどの施設が1人当たり15分以内で済まされることが多いが、介護度の高い利用者がいる施設においては、1人に30分以上かかることもあるとわかった。
(自由回答欄における具体的な回答の抜粋)
【入浴に関する課題】- 利用者が満足できる浴槽内での時間が取れること。イモ洗い状態なので。
- 午前中に利用者全員を入浴させるのに、時間が足りなくなることがある。
- スタッフの足腰に負担がかかる。
(6)入浴介助の際に利用する介護機器
入浴時利用する介護機器 | 人数 |
---|---|
シャワーチェア | 50 |
特殊浴槽 | 37 |
リフト | 24 |
滑り止めマット | 19 |
取り付け手すり | 19 |
浴槽台 | 5 |
入浴用車椅子 | 4 |
使用しない | 3 |
バスボード | 2 |
特になし | 2 |
不明 | 2 |
その他 | 9 |
合計 | 167 |
(7)排泄介助の際に利用する介護用品
排泄介助時利用する介護機器 | 人数 |
---|---|
取り付け手すり | 16 |
ウォシュレット | 13 |
ポータブルトイレ | 12 |
特になし | 7 |
尿器 | 5 |
陰部洗浄ボトル | 3 |
不明 | 1 |
その他 | 11 |
合計 | 57 |
(8)入浴・排泄介助に関して課題
課題の有無 | 人数 |
---|---|
はい | 62 |
いいえ | 38 |
合計 | 100 |
具体的な課題 | 人数 |
---|---|
重度の利用者への対応 | 13 |
設備 | 13 |
時間の不足 | 8 |
スペース | 8 |
入浴介助の方法 | 6 |
顧客満足 | 6 |
衛生面 | 5 |
事故 | 4 |
人手不足 | 3 |
プライバシーの確保 | 2 |
その他 | 8 |
合計 | 76 |
比較的介護度の低い利用者が多いデイサービス等では、シャワーチェアのみ使用している施設がほとんどであった。デイサービスや老健施設でも重度の利用者が増えている状況であり、今後、入浴・排泄介助設備やスペースの問題は各施設で更なる課題になると予想される。「介護度の高い方対応の入浴介助用機械と浴室での排泄設備等」「リフト浴のチェアでも座位が維持できない方は入浴できない」「車いすの方がシャワー浴しかできない」などの意見もあがっている。
(9)今後導入を考えている入浴・排泄介助の機器
今後導入を考えている入浴・排泄介助の機器 | 人数 |
---|---|
特殊浴槽 | 16 |
設備自体 | 11 |
リフト浴槽 | 11 |
手すり | 9 |
シャワーチェア | 5 |
陰部洗浄機 | 4 |
衛生対策に対応できるもの | 2 |
特になし | 30 |
不明 | 2 |
その他 | 17 |
合計 | 107 |
※リフト浴槽も特殊浴槽の一部とも考えられるが、ここでは回答通りリフト浴槽と特殊浴槽にわけて集計している。
こちらの質問に関しては、大きく機器の種類に分け図表に表しているが、各機器に対する細かい要望が自由回答欄で目立った。
(自由回答欄における具体的な回答の抜粋)
- 手すりはL字のものだけなので、少し動くような手すりが欲しいです。
- どの方向からでも車椅子からトイレへの移動がしやすい広さのトイレ。
- C型肝炎の方や、MRSAの方にも安全に配慮した機器を入れてもらいたい。
- 機械浴でチェアインのサイズが利用者別に適したらと思う。
- スタッフに負担がかからない設備機器(腰に負担がかかる)。
アンケート結果より抽出される課題と考察
(1)安全管理、見守り対策について
安全管理や見守り対策を取っている多くの施設が使用しているのはセンサである。現在、離床センサをはじめ様々な製品が開発・販売されているが、設備投資が難しいことから設置が簡単なものが望まれる、また、簡単に利用でき、誤作動が少ないものが求められているが、手軽に利用できるものは費用面においては優れているが信頼性に不安があるなど、費用面と信頼性のバランスが難しい。
≪参考:介護現場で使用されるセンサの例≫
- 離床センサ:ベッド横の床にセンサパッドを敷くタイプや、赤外線を利用して、 ベッド等から転落しそうなときに知らせるタイプ、ベッド柵にセンサパッドを巻き付けて設置するタイプなどがある。
- 高齢者徘徊検知:離床センサを出入り口に設置して使用する場合と、利用者にRFID等のタグを持っていただき、建物の出入り口付近に受信機を設置することによって電波を受信して検知するシステムなどがある。
<想定されるシステム>
- 配線や設備工事が簡素化できるため、無線化された機器
- 顔認証によって誤作動をなくし、なおかつ安価な見守りシステム
- 安全面の見守りだけでなく、体調の変化を把握できるような生体認証センサを組み込んだもの ほか
(2)リハビリ・自立支援について
ほとんどの施設でリハビリ・自立支援が行われていたが、時間や人手が足りていないという現状があるため、症状にもよるが、利用者自身が安全に、かつプログラムを楽しみながら行うことができる持続性のある機器が望まれる。また、リハビリは持続性が重要であるため、在宅でも簡易に活用できる製品のニーズが高いと考えられる。
<想定されるシステム>
- 持続するためのモチベーションアップに繋がる介護予防ロボット
- 安全性確保のため、転倒防止用にジャイロセンサ等を活用した歩行器具
- 歩行速度をLEDで自動表示させるリハビリ用平行棒
- 在宅でも利用可能な小型のリハビリ機器 ほか
(3)入浴・排泄介助について
介護従事者の負担の大きい入浴・排泄介助については、リフトなどが多く開発されているが、設置スペースの問題や、人手で行ったほうが早いなどの理由で、利用しないケースもある。
<想定されるシステム>
- 室内の移動をサポートする小型の移動機器
- 介護従事者の負担を軽減する手軽に使用できるパワードスーツ ほか
まとめ
- 介護従事者の負担を軽減しサービス向上に繋げるために、移乗支援機器等をはじめとした製品やサービスにRTを活用することは有益である。
- 移乗支援機器の開発、業務管理ソフトやクラウドを利用した管理運営システムの開発など、介護者の負担軽減に繋がるものは、介護現場のニーズと概ね合致しており、今後の高い市場性が見込まれる。