大阪トップランナー育成事業

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2022年度第1期 DX 建設

建設業界の未来のために建機レンタル業務のDX化を実現

株式会社Arch

建設現場において不可欠な建設機械。そのレンタル、発注、管理、返却という業務フローを紙の帳票と手作業に頼っていた現状を「Arch」がデジタル技術で改革する。

ITで建設現場のコストとリスクを削減

認定プロジェクトとなった「Arch」というサービスの概略から教えてください。

松枝

建設現場では建機という機械を利用するんですが、これの管理業務をデジタル化するサービスです。見積もり、発注、在庫管理をすべてデジタルによって効率化し、建設現場の立ち上がりから竣工後までトータルサポートするようなアプリケーションになっています。

北山

もともと、ショベルカーやフォークリフト、発電機、照明といった機材は建設会社が所有しているのではなく、現場ごとにレンタル業者からレンタルしてくるものなんです。われわれのサービスを利用すれば、まずオンラインだけで複数のレンタル業者から一括して相見積もりを取ることができます。

複数の中古車販売会社から買取見積もりを一括で取れるサービスがありますが、あんなイメージでしょうか。

北山

そうです。いままで1ヶ月ぐらいかかっていた見積り依頼が一週間で済むようになります。

松枝

さらに、これはまだ入口です。「Arch」を利用すれば、発注した建機を一覧画面で管理することもできます。ひとつひとつの機材について、いまどこの下請会社に貸しているか、使っているか、あるいは故障していないかといった情報が現場全体で閲覧・共有できるんです

北山

大きな建設現場になるとレンタル建機というのは数百から数千という規模になる。これをいままでは紙の帳票を手作業で管理していたんですよね。そして竣工後、いざ返却となったときに紛失などしていれば多額の補償が発生する。管理の人件費とあわせて、こうしたリスクやコストを大幅に削減できるサービスなわけです。

創業メンバー2人の現場経験から生まれたアイデア

このサービスを開発した経緯はどのようなものでしょうか。

松枝

わたしはもともとゼネコンに勤務していて現場監督もやっていたんです。当時、工程管理などはデジタル化でかなり効率化が進んでいましたが、資材管理やレンタル管理などはまだまだアナログで非効率でした。そこで新規事業の企画・開発部署に異動したとき、自分で「Arch」のプロトタイプとなるシステムをプログラミングしてみたんです。その後、建設現場で知り合った北山に声をかけて、2021年の9月に会社を立ち上げました。
北山 わたしは建機レンタルの会社に勤務していて、松枝とはおなじ現場で2年間苦楽をともにしたことがありました。以来ずっと友人関係だったのですが、やはり建機レンタルの業界も昭和のままで非効率だと感じていたんですよね。そこで会社設立に参加し、商品データベースやレンタル会社側の業務フローの部分でシステム開発に協力しました。

異なる立場でともに建築現場での経験をもつ北⼭氏(左)と松枝氏(右)

スタートアップ支援の活用で順調な起業

サービス開始までに苦労したことはありますか。

松枝

参画してくれる建機レンタル会社の確保ですね。

北山

一部レンタル会社では自社のオンライン発注システムを、すでに構築しているところもあり競合関係になる。われわれのシステムのメリットを説明してもなかなか難しいと。

松枝

んなときに建設業界大手の株式会社安藤・間がスタートアップ企業と共創するアクセラレータープログラムというのを見つけて、応募してみたらなんと採用されたんですよね。

北山 

全面協力のもとで一緒にレンタル会社を訪問して説得してくれたり、これがほんとうに大きかった。サービス開始前に実証実験の場も提供していただけたり感謝でいっぱいです。

では大阪トップランナー育成事業に応募された理由は?

松枝 

スタートアップとして起業し、知財や労務、広報などに関して知識も経験もないわけです。そういう部分を支援してもらえるというのが最大の理由でした。認定プロジェクトの先輩たちも、みなさん大きく成長されているようですし。

北山

実際に認定されてからは、そのサポートのきめ細かさに驚いています。コーディネータの方はこまめに連絡をくれて、事業育成の道筋をいっしょに考えてくれる。士業と呼ばれる専門家の方と打ち合わせするときも同席してくれて、われわれが気づかないこと、聞きづらいようなことも臆せず聞いてくれますから本当に助かります。

時代が求める展開でさらなる成長へ

現在の課題についてお聞かせください。

松枝

まずは普及拡大。そのためにもサービス画面の操作性や機能性などは、現場からの意見・要望に応えつつアップデートを続けています。ただ、建設現場のITリテラシーはまだまだ高くないのでサポート体制も充実させていきたい。

北山

実はサービスが定着するための支援としてカスタマーサクセスというチームを立ち上げているところです。そのためにも、いまはマンパワーが欲しい。なにしろひとつのゼネコンに食い込めると一気に100以上の現場が増えますから。二人ではとても手が回らないので、顧客サポートのできるホスピタリティの高い人材を募集しているところです。

今後の展望についてもお聞かせください。

松枝

将来的にはロジスティクスの部分にも、なんらかの形で参入したいですね。レンタルした機器の納入や返却などで、かなりの手間や輸送コストが発生しています。この部分をわれわれが一括管理できるようになれば、トータルでさらなるコストカットができるのではないかと思います。

北山

もともと建設業界というのは人手不足と高齢化が激しいのが現状です。そのうえ働き方改革で時間外労働の上限規制が強化され、建設現場の効率化というのは急務です。そうした時代だからこそ、わたしたちの「Arch」というサービスは大きく貢献していけると思います。

希望するマッチング
&パートナー例

  • 手ゼネコン~地場ゼネコン
  • サブコン
  • あらゆる建機レンタル会社

株式会社Arch

建設業、建機レンタル業向けデジタルサービスの開発・提供

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