認定企業の声

  • HOME > 
  • 認定企業の声 > 
  • おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成(株式会社macoto.creative)

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

PROJECT
おひとり様のための終活サービス「finale:」
COMPANY
株式会社macoto.creative

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

身寄りがなく、相続人もいない“おひとり様”の財産問題と、社会貢献団体の活動資金不足問題。両者をマッチングし、課題を解決する。

IT系、技術系事業が多い大阪トップランナー育成事業の中でも、御社の事業はまさに異色の存在ですね。その内容を教えて下さい。

私たちが展開している事業「finale:(フィナーレ)」は、身寄りがなく、相続人がいない、“おひとり様”を対象に、それぞれが持つ、さまざまな将来の不安を解消していくことをテーマとしたサービスです。例えば、「病気になったらどうしよう?」「認知症になったらどうしよう?」「自分が亡くなったら、この家や屋敷、財産はどうなるのだろう?」といった相談を受け付け、当社の母体となっている法律事務所の持つ法律の知識も活用しながら、連携した事業者、NPO法人や社会貢献団体と一緒に解決し、安心して残りの人生を生きていただくための活動を行っています。
私たちはおひとり様のあらゆる相談にワンストップでお答えしていますが、特に、その方が遺される財産について、あらかじめ自分の意思で寄付する先を決めておき、死後寄付を実施する=「遺贈(いぞう)」という形で活用いただくことで、ご自身も納得・安心いただき、社会貢献にもつなげていただけるのが特徴です。生前に個々のヒストリーに合った社会貢献団体をマッチングすることで、社会に貢献するという生きがいや満足感を感じていただけ、寄付を受ける団体は、活動資金を得られる。そして、その活動を通して、多くの人が救われるというつながりができていきます。

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

おひとり様、団体、利用者にとって、まさに3方よしなサービスですね。ではなぜ、そのようなサービスが今必要なのでしょうか?

データによると相続人がいない人の遺産が現金化され、国庫に入った金額は、2017年度には520億円を超えています。その莫大なお金は、国の財産として社会保障費や国の借金の返済などに使用されます。しかし、これは選任された相続財産管理人が調査や整理手続きをして換金された財産の総額です。実際には、相続財産管理人選任の申立てがされないまま、放置されている住宅や土地、調査で見つけられなかった資産なども多く、その実数は数倍以上と、かなり大きいものでしょう。
私は、法律事務所を長年経営している中で、相続関係の案件に数多く携わってきました。相続財産管理人に選任されることも多々あり、誰にも相続されることのない財産というものに関心を持っていたんです。同時に青年会議所の活動の中で、社会貢献活動を行っている多くの団体と出会い、活動資金や寄付金集めに苦しんでいることを知りました。多くの団体は、国・行政からの助成金を得るため、煩雑な申請に時間や手間を取られ、疲弊している状態。時には、資金を得ることができず、せっかくのいい取り組みなのに活動できないという、悲しい例も数多く見てきました。

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

そうした社会問題を法律家として間近に見てこられたことが、事業化のきっかけになったということですね?

まさにそうです。一方で宙に浮いたお金があり、一方で世の中に良いことをするための活動資金がなくて、活動できない人達、団体がいる。その2つを上手くマッチングできないかという思いで、数年前から構想を練って、2015年から「finale:」を立ち上げました。
最初に苦労したのは、「身寄りがいない人、相続人がいない人はいったいどこにいるのか」ということ。日本全国に確実に点在しているはずなのに、どうやって探して、どのようにアプローチすれば良いのか模索が続きました。中には、自分に相続人がいないということを理解していない人も多くいるわけですから、世の中の認知度という点も大きな壁でしたね。
それで最初は、将来の不安や財産処分の相談先となる、相続フェアや終活フェアを開催している事業者や不動産会社、葬儀社、お寺などにアプローチし、私たちの活動へナビゲートしてもらうという、提案活動を地道に行いました。すぐには相談に結び付きませんが、少しずつ広げていき、浸透させていくということを意識して、あきらめず継続していきましたね。

そうした課題が一気に解決した、ブレイクスルーの瞬間は?

2018年の大阪トップランナー育成事業にプロジェクト認定されたことが、非常に大きなインパクトとなり、そこから一気に認知度がアップしました。まさに劇的に変化したという程に(笑)。
大阪イノベーションハブのスタッフから、「大阪トップランナー育成事業というものがあって、認定されるのは狭き門ではあるけれど、まずはエントリーしてみては?」というお誘いをいただきました。ビジネスコンテストには、それまで一度も参加したことがなかったので迷いましたが、トライしてみて本当に良かったと今は思います。審査中は、プレゼンの練習会があり、参加者同士がプレゼンをしながら意見交換を行ったことは、新たな気づきが沢山あり、よりビジネスモデルをブラッシュアップすることができました。エントリーしている企業は、IT、技術系企業が多かったので、私たちの事業が本当に認められるのか不安でしたが、2018年に大阪トップランナー育成事業のプロジェクト認定を受けた時はホッとしました。
大阪市のお墨付きをいただけたことで信頼感が増し、今まで苦労していたアプローチがしやすくなりました。それと、メディアにも取り上げてもらえる機会が増えましたから、認定後のインパクトの大きさは、今もずっと事業の追い風になっていますよ。

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

現在は、認定後のハンズオン支援を受けておられるとのこと。今はどういった課題を持ち、どのような支援を受けておられるのですか?

認定後は、毎月コーディネータから、事業の進捗状況や事業の進め方、さらなるビジネスモデルのブラッシュアップアドバイス、さらに施策実行後の分析やフィードバックもいただいています。
これまでの私の場合、PR動画をつくる時などは、制作会社にまるまるお任せしてという感じでやっていたのですが、コーディネータの方からは、まず「コンセプトをしっかり固めることが大事」というアドバイスを受け、その上で制作会社をご紹介いただいたり、事業と連携できそうな企業や団体をご紹介いただいたりもしました。このような的確なアドバイスと細やかな企業マッチング支援を受けて、今では多くのつながりができました。早朝に開催するピッチイベント「モーニングミートアップ」への参加も勧めていただき、プレゼンした時には、一部上場企業の役員クラスの方からお声がけいただいて、提携のお話しをいただき、成約につながりました。
こうした多くの支援を受けて、事業がどんどん発展・成長していっているという実感を今まさに味わっているところですね。

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

多くの人や企業とつながっている中で、これから「finale:」に関する新しい動きが次々とありそうですね?

実は、いろいろ新しい企画が動き出している段階で、まだ確定ではありませんが、有名百貨店様とのコラボレーションイベントや大手デベロッパー様との団地の再開発案件など、他社と連携した取り組みが加速しそうです。それと、「遺贈」をしたいという個人の方、受け取る側の団体からも問い合わせが増えてきています。こうした中、今後の案件やコラボレーションの増加を見据えて、他の事業者や思いを共有して共に活動いただく代理店づくりも、すでに視野に入れているところです。同時にNPO法人や社会貢献団体の審査システム、言わば団体の格付け機関・制度的なものをつくって、遺贈する人が信用し、安心していただける環境づくりにも着手していきたいと思っています。
私たちとしては、日本に寄付文化を醸成していきたいという、事業立ち上げ時から変わらない思いがあります。寄付というと、日本ではまだまだ数千万、数億円もの資産を持つお金持ちがするものというイメージが強いですが、実際は数十万、数百万円というレベルでもできるんです。欧米では寄付文化が浸透しており、そうした方が多くおられます。だから、私たちの事業「finale:」を世の中にもっと浸透させ、誰もが気軽に寄付ができ、将来も安心していただける事例を増やすことで、寄付文化を創り出していきたいですね。

おひとり様の相続問題を解決、世の人を幸せに導く寄付文化を醸成

最後に、世の中にない事業を立ち上げたい、事業で社会に貢献したいという思いを持っている人、一歩を踏み出せない人に熱いメッセージを!

悩むよりも、何よりも、まずはじめてみること、動いてみることが大事ですね。やってみてダメな部分は、随時変えていけば良いし、やり出して初めて見えてくるもの、得るものも多々あります。だからまず踏み出してください。それと1発目で成功するという考えは持たずに、あきらめず継続していく、ダメなら改善していくということが大事です。
今の時代は、起業にあたってかかるコストも、昔に比べて少なく済みます。店をつくったり、オフィスを借りたりしなくてもどこでも事業はできますし、PRのためにWEBサイトをつくらなくても、SNSを活用すれば大丈夫です。その意味では、起業にかかるコスト、動き出すためのコストは、それほどかかりません。それに動いていれば、色んな人に出会え、一緒にやろうという人も現れますからね。あまり構えることなく、動いている中で考える、というスタンスでがんばってください!

企業DATA

身寄りのない方の将来の不安解消に関する相談受付から、財産問題については、社会貢献団体への寄付へとつなげるマッチング事業

株式会社macoto.creative
代表取締役 北村 真一