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お肉を科学し、美味しいを進化させ畜産業界に新たな価値を。

PROJECT
世界と後世に誇る和牛D2Cブランド「MARBLANC」
COMPANY
株式会社MARBLANC

お肉を科学し、美味しいを進化させ畜産業界に新たな価値を。

科学的コントロールにより、通常のお肉の4倍の旨味成分を引き出した熟成肉の安定供給を実現。食肉のブランディングを通じて畜産業界の発展をめざす。

畜産業界への危機感から和牛の新ブランドを立ち上げ。

― 認定プロジェクトを立ち上げた経緯について教えてください。
佐藤 私は大学卒業後、建築デザイナーとしてハウスメーカーで勤め、コンサルティング会社に転職し中小企業を支援していました。そうした中でコロナ禍になり、家業の食肉卸業の取引先が軒並み経営難になってしまったんです。ところが、卸売業者への国の支援金はない。そこで新たに食肉のEC事業を立ち上げたところ、初年度に単月の売り上げを1500万円まで伸ばすことができたんです。もともと起業を考えていたこともあり、広告予算6万円でここまで売れるなら、この業界は伸びるチャンスがあるなと感じました。

― 業界での課題など、気づいたこともありましたか。
佐藤 まず、家業で扱うお肉はこんなに美味しいのに、神戸牛など産地のブランドがないだけで小売価格に3倍以上も差が生じてしまっていることに疑問を感じました。一部の生産者や卸会社が利益を得て、品質にこだわり情熱を持って牛を育てている生産者が正しく評価されていないと思ったんです。牛は競りに掛けられるので、生産者は自分たちで売値を決めることができません。ウクライナの問題で飼料のとうもろこしが高騰し、そのうえ円安で輸入にかかる負担が増え、牛を出荷すればするほど赤字になっていく。このままでは、良い牛を育てる畜産農家が減少し、日本の畜産業界がダメになってしまうという危機感がありました。

熟成肉の美味しさとワクワクするような体験を。

― そうした危機感から、このプロジェクトが生まれたんですね。
佐藤 はい、本当に美味しいお肉にきちんと付加価値を持たせ、消費者に伝わるようにリブランディングを図ることが、この業界がさらに先に進む第一歩になると考えたんです。具体的には、熟成肉の美味しさと、ワクワクするようなユーザー体験の2軸でリブランディングを図ることで、消費者にこれまでとは違う価値を提供できるのではないかと考えました。

― 具体的にはどのようなことをされたのでしょう。
佐藤 熟成ボックスによって牛の種類や肉の部位に応じて温度や熟成期間を設定できる環境を用意し、実証データの蓄積に裏付けられた科学的コントロールをすることで、通常のお肉の4倍の旨味成分を引き出した熟成肉の安定供給を実現しました。さらに、最新の真空包装設備を導入し、消費期限を14日間と大幅に伸ばすことを可能にしました。また、ギフト需要にも応えるため、見た目の華やかさを重視し、アートのような独創的なパッケージで提供しています。

MARBLANCを和牛ギフトの定番に。

― ギフト需要に力を入れるのには理由がありますか。
佐藤 ある調査によると、贈りたいギフトの第一位が牛肉でした。34%の人が「牛肉を贈りたい」と思っていますが、実際に贈っているのは13%と少ない。そこで、賞味期限が短い、パッケージが古臭いということが理由でお肉をギフトとして選択してこなかった潜在マーケットの掘り起こしを狙っています。また、「家で上手にお肉を調理できない」という声をよく聞きますが、その点、熟成肉はよく焼くほど味が濃くなって美味しくなるのでギフトに最適なんですね。MARBLANCでは、焼き方やシェフのレシピを紹介するなど、調理誤差が出にくいよう工夫しています。

― 事業の立ち上げからおよそ1年、どんな手応えを感じていますか。
佐藤 応援購入サービス「マクアケ」で販売を開始したところ、3カ月以内リピート率が28%と高く、多くの方に喜んでもらいました。「自宅用で購入して美味しかったからギフトに」というお客様も多く、お肉がギフトの定番になりつつあることを実感しています。価格については、旨味成分を従来より向上させながら、百貨店の2/3の価格で提供できており、家業が30年近くかけて築いた商流を一年目から使えるメリットを実感しています。

TURNING POINT「01 Problem」コロナ禍で家業をサポートすることに。畜産の生産者が正しく評価されない業界に疑問を持つ。>「02 Adjust」熟成肉ギフトのブランドを立ち上げ、潜在的なギフト需要の掘り起こしを図る。>「03 Become a business」ECサイトに加え実店舗で販売を開始。生産者とのネットワークを構築し、業界全体を盛り上げていく。

ブランディングを通じて食肉業界の発展を。

― 今後、どのような展開を考えていますか。
佐藤 7月から高槻市で実店舗を構え、完全予約制の販売、食肉の端材を活用したフードデリバリーサービスを始めました。今後は、全国の生産者さんと繋がり、周辺のレストランや大手高級スーパーでも使ってもらえるようネットワークを広げていきたいですね。

― 最後に、MARBLANCがめざす未来について教えてください。
佐藤 この業界の一番の課題は、生産農家数の減少だと思っています。一部の産地に需要が集まる現状は、産地偽装といった問題を生み出します。そうした課題を解決するためにも、私たちのようなちょっと違う角度からのブランディングが必要だと思うのです。ブランディングが成功すれば、業界としてお肉の価値を見直すきっかけになり、業界自体が発展するきっかけにもなります。ブランド名のMARBLANCは、MARBL(霜降り)+BLANC(空白)の造語で「食肉業界の空白を狙うブランド」という意味を持たせました。このMARBLANCを皮切りに、30年後の食肉業界のスタンダードをめざしたいと思っています。

希望するマッチング&パートナー例

  • 調味料や惣菜の商品開発委託先(ミシュラン料理人とのコラボ等)
  • 全国の卸売り先
  • 全国の和牛生産者

企業DATA

二段熟成和牛のオンライン販売

株式会社MARBLANC
代表取締役 佐藤 辰哉