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スモールスタートで始めるIoTで、日本のモノづくりに貢献する

IT化の流れに取り残される製造現場をサポートし、無理なくIoT導入を実現する『プロマネ(Pro-Manager)』。開発に掛ける熱い想いとは?

まず、『プロマネ』開発のきっかけについて教えてください。

大手メーカーでエンジニアとして電子基板などを手懸けており、その時の経験や培ってきた技術やノウハウを生かして、システム設計や開発を行う株式会社 Mountain Gorillaを立ち上げました。当初ターゲットを絞らず幅広い分野でビジネスの可能性を探っていく一方、同じモノづくりに携わってきた人間として日本の製造業に貢献したいという想いがずっと自分の中にありました。そこで注目したのが、IoT化が遅れている製造現場です。
特に大阪は製造業が多く、センシングやAIなど、時代はどんどん進化しているのに、未だ紙の帳票に手書きするといったアナログな作業に追われている。それが歯がゆくて、何とか改善したい!と感じたのが最初のスタートでした。

スモールスタートで始めるIoTで、日本のモノづくりに貢献する

IoT化の遅れの原因は?

最初の取り組みとしていろんな工場に行きヒアリングを行ったのですが、見えてきたものは、現場の方々のITリテラシーの低さでした。いわゆる町工場と呼ばれるような小規模の現場や、昔からの製法を頑なに守る古い工場などでは、まだまだ意識が遅れているのが現状です。そうしたなかで、いきなり「IoTを導入すればこんなメリットがありますよ」と言われてもそれがどう作業効率化につながるのか、実感が湧かないですよね。ましてや、IoT導入となると膨大なコストが不可欠。「どんなメリットがあるか分からないのに、大きな資金を投入することはできない」という現場の想いが、IoT化を遅らせる最大の要因でした。

スモールスタートで始めるIoTで、日本のモノづくりに貢献する

その打開策が、少額からスタートできるという仕組みだった?

そうです。多額の投資を必要とした従来のサービスとは異なり、『プロマネ』が打ち出したコンセプトは“小さく生んで大きく育てる”というスモールスタートIoT。リテラシーが低いなら、一歩ずつ段階を踏んで知っていきながら理解を深め、メリットを実感してもらおうという考えです。そこで帳票1枚5,000円からスタートできるという気軽に始められる価格ラインを設定。IoT導入を、「紙からデータ化へ」「データの見える化」「データの活用」の3つのステップにわけ、理解を促しながら丁寧に推進していくというフローをつくりだしました。

スモールスタートで始めるIoTで、日本のモノづくりに貢献する

そこまでユーザーに寄り添った商品設計を行ったのは、やはり製造現場に携わってきた経験があったからこそ?

確かにそれもありましたが、“技術と世の中の接点をつくる”ことが自分の仕事だと確信したからですね。私をはじめメンバーはみんなエンジニアでしたので、技術に誇りと自信を持ち、常に“モノをつくる”ことに課題意識がありました。しかし、事業を展開していくうちに、つくり手の一方的な視点で考えるのではなく、自分たちの技術と世の中のニーズをきちんと結びつけることこそが大切だと実感。だからこそ、何度もお客様のもとに出向き、現場のニーズや課題を肌感覚で掴み取っていったことが、これまでにないユーザー視点のコンセプトにつながったのだと思います。

大阪トップランナー育成事業に応募した目的は?

最初は正直、「大阪市の認定がもらえるのは良いな」くらいの軽い気持ちでした。ところが、実際に認定を受けてみて、想像以上に手厚いサポートが受けられることに驚きましたね。
認定プロジェクトに選ばれると専属のコーディネータが担当につくのですが、月に一度のミーティングでは課題を明確にしながらKPIに基づいてさまざまなアドバイスをもらえます。当社にとって、最大の課題は販路拡大でした。エンジニア集団の企業ですので、つくるのは得意ですが売るのが苦手。新規の顧客開拓が必要だと自覚していても、どうしていいのか分からない。そうした状況を相談すると、WEBマーケティングやメディア対策、広告媒体の企画制作など、各分野の専門家と引き合わせてくれて、SNSを活用した販促展開や自社サイトから問い合わせを受けるためのコンテンツ制作など、具体的な対策を実現できました。費用についても一部サポートしてもらえるなど、本当にありがたい事ばかりです。

そうしたハンズオン支援の結果、事業にどんな変化が?

まず問い合わせの数が格段に増えました。立ち上げ当初の営業といえば、人脈をたどって紹介してもらうか展示会に出展して企業様との接点をつくるのが精一杯でしたから、その効果には限界がありました。しかし、WEBを活用することで大阪だけでなく西日本や関東など全国の企業に『プロマネ』の存在を知ってもらうことができ、実際の顧客数も20社から40社と倍に増えました。ハンズオン支援が始まってわずか半年ですが、着実に成果が現れているのを実感することができています。

好転するきっかけになった出来事はありましたか?

認定プロジェクトとしてメディアに紹介され、日経産業新聞の1面に取り上げられたことが大きかったと思います。『プロマネ』のコンセプトは“スモールスタートIoT”ですが、当時それがなかなか企業に伝わらないのが悩みのタネでした。ところが、「ゆるIoT」という親しみやすくインパクトのある見出しで書かれた記事が大反響を呼び、ひとつの追い風となって状況を好転させてくれたと思います。
それと同時に、『プロマネ』を知り導入してくださったお客様に、着実に成果が現れていることも事業を動かす大きな原動力になっています。たとえば「月あたり45時間の時間削減ができた」とか「棚卸しの合致率が100%実現し、負担が大幅に軽減した」など、さまざまな喜びの声をいただけるのが本当に嬉しいですね。お客様から新たなお客様へと口コミが広がっていくのはもちろんですが、まずは一部の帳票からデータ化を始めたお客様がシステム範囲を拡大したり、さらに次のステップに進んで業務が改善されると、確かな手応えと共に大きなやりがいを感じます。私たちの最終目標は、より多くの製造現場でデータを賢く活用していただき、より良いモノづくりにつなげていただくことですから。

スモールスタートで始めるIoTで、日本のモノづくりに貢献する

今後はどのような展開をお考えでしょうか?

まず、2020年の4月までに100社導入をめざします。そして、それをきっかけにして東京進出を図り、本格的に全国展開をしていく考えです。現在もWEBサイトを通じて関東から多くの問い合わせがあるので、そのご要望にしっかりと応えていきたいですね。
そしてもう一つの方向性が、『プロマネ』をベースにした食品メーカー向けスピンオフ商品の開発です。製造現場の幅広いニーズに応える『プロマネ』とは別に、ターゲットを絞った高付加価値商品をつくりたいとかねてから考えていました。そんななかで注目したのが食品製造。安全で美味しいモノをつくることを命題に製造現場ではさまざまな配慮がなされており、中でも衛生管理については膨大な記録と資料作成に追われている状況があります。
さらには2018年に改正食品衛生法が成立し、衛生管理手順を「見える化」して大規模管理を行うHACCPの義務化が決定。それに伴い、製造現場では新たな管理体制づくりが不可欠となりました。そこを『プロマネ』の技術でサポートしたいと思っています。IoTを活用することでHACCPに準拠した安心な食品づくりを担保できるだけでなく、材料配分や仕込み方法など商品づくりのためのあらゆるノウハウをデータ化することで、最も美味しい状態を安定して生産することも可能です。
IoTで実現できるモノづくりの世界は、さまざまな可能性があるはず。これからどんなサポートができるか、私たちも楽しみですね。

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最後に、大阪トップランナーへの応募を考える起業家へメッセージをお願いします。

少しでもチャンスを感じたり良いなと思ったことは、ためらわずどんどん挑戦しましょう。新たな試みや行動は、不安もあるしエネルギーが必要。しかし、それをやるかやらないかの差は、思っている以上に大きいものです。「本当に意味があるのか?」と頭で考え自らにブレーキをかけてしまうことは、学びのチャンスを失うことと同意です。致命傷以外、すべての失敗は成功への糧。若いうちに多くを失敗し学んでいくことが大切です。悩んでいるなら、まず行動!それが成功への近道だと思います。

企業DATA

製造業を中心にスモールスタートIoTを推奨しながら、ソフトだけではなくハードウェア機器も開発するITモノづくりの総合カンパニー

株式会社Mountain Gorilla
代表取締役 井口 一輝