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日本の福祉の未来を支える、新たな人財育成事業の確立へ

COMPANY
株式会社SIM

重松様

2025年問題を解決すべく、介護人財38万人創出に向けた事業をスタートさせた代表・重松和孝氏。“65歳以上の元気なシニア”に着目し、課題解決に挑む。

介護分野における人材不足は年々深刻化しており、本プロジェクトへの期待は高いと思われますが、まずは立ち上げの経緯についてお聞かせください。

そもそもの始まりは、前職で介護業界の大手企業をバックボーンに持つ、介護資格スクールに勤めていたのがきっかけです。実は、私が起業するのは今回で3回目。1度目は求人広告で、2度目はアパレル人材派遣で起業し、いずれも挫折してこれから先どう生きて行くべきか、自らの将来を真剣に考えていた時でした。

当初は介護に対し特に強い関心を持っていた訳ではなかったのですが、ふとしたご縁で介護人材の育成や就業支援に関する仕事に携わるようになり、その社会的役割と存在意義の大きさを痛切に実感。そのなかで、「自分がすべき仕事はこれだ」「過去の経験や挫折は、この仕事に出会うためだったんだ」と、すとんと腹に落ちたのです。

そこで、大手組織ならではのリソースを生かし新たな事業モデルの確立をめざしたのですが、さまざまな課題や壁にぶつかり断念。「それならば自分自身で会社を立ち上げ、理想とする事業を創り上げていこう」と、3回目の独立を決意しました。

重松様がめざした理想の事業モデルとは?

介護資格の取得に向けたスクールは数多く存在しますが、その多くは資格取得後の十分なフォローやサポートがなく、せっかく資格を取っても就職に結びつかなかったり、入社後の悩みを相談できる場所もなく結局辞めてしまったりと、なかなか人材不足の解消に至っていません。

さらには介護職の不人気や若年層の人口減少を背景に、人材需要に対して供給が圧倒的に不足しており、介護事業者は必要な人数を確保するために人材紹介業者へ高額な紹介料を支払わざるを得ないという状況に陥っています。

その結果、経営は逼迫し、現場で頑張っている介護職員に手厚い待遇を提供したくともそれができない事態に……。さらにその状況が人手不足を加速させるという、負のスパイラルに陥っていると言っても過言ではないでしょう。

当社がめざすのは、それら介護人材を取り巻くさまざまな問題を打開すること。そのため、 介護資格の取得に留まらず、就職支援、その後の活躍に至るまで、継続したサポートを実行する、その名も「ずっとケアスクールWithYOU」を開校しました。

従来、入学時に支払わなければならない受講料も、資格取得後は介護職に就業するという前提でスクール側が負担し、雇用する介護事業者に受講料と紹介料を含めた適性価格での人材紹介を実現。求職者と雇用者双方の負担を軽減し、少しでも多くの人材輩出につなげていくものです。

現在、立ち上げから約5年。当社に共感いただける方々も増え、介護事業者とも協力しながら徐々にスクール数を拡大しているところです。

ずっとケアスクールWithYOU

2018年大阪トップランナー育成事業に認定されたプロジェクトでは、「65歳以上のシニア」がキーワードとなっていますが、そこに着眼したきっかけは?

実は、私が大阪トップランナー育成事業に応募したのは今回が初めてではありません。2017年にも応募して最終審査まで残ったのですが、結果は落選。2018年の応募は再チャレンジなのです。

1度目の挫折ではずいぶん悔しい想いもしましたが、それと同時に確信したのが「最終選考まで残ったのだから、あと一歩、何かが足りないだけだ」という確かな手応えでした。その足りない一歩を突き詰めていくなかで、たどり着いたのが65歳以上のシニアの戦力化だったのです。

そもそも、この仕事に関わって以来ずっと人材不足という課題と向き合い続けてきましたので、解消するには日本総人口のなかで最大のボリュームゾーンである65歳以上が大きな鍵になると以前から考えていました。幅広い年齢層を対象とする一般的なスクールならたくさんありますが、65歳以上のシニアに焦点を当てた人材育成・雇用支援は、画期的な事業モデルになるはず。

そういう意味では大阪トップランナー育成事業に応募したことで、自らの考えを冷静に客観視できたし、第三者の評価を加えブラッシュアップしたことで事業モデルとしてもより明確になり、今回の認定につながったのかも知れませんね。

ずっとケアスクールWithYOU

認定後、ハンズオン支援ではどのようなサポートを受け、事業としてどんな進展がありましたか?

まず、事業として確立していくには、本プロジェクトの狙いと仕組みを周知させ、正しく理解いただくことが必要です。一般的に介護職といえば、重労働で体力勝負、若者でもキツイというイメージだと思います。

しかし、実際には体力を必要とする場面は介護のなかの一部であり、高齢者でも活躍できる場面は思っている以上に多いのです。また、介護職として就労する意思のある方には、費用負担をほぼゼロにするという仕組みについても、これまでにない新たなモデルだけにしっかりと伝えていくことが目下最大の課題です。

現在は、第一関門である正しい周知に向け、コーディネータの方にいろいろなアドバイスをもらっているところ。介護事業者はもちろん、高齢者の就労支援を行う行政組織や労働組合への働きかけなど、1人の力では到底できないことを、スピード感を持ってサポートしてくださるので、本当に心強いですね。

そんななかで生まれたプランのひとつが、8月に開催予定の介護体験イベントです。実際に介護の現場で活躍している65歳以上の介護職の方々にも生の声で語っていただき、高齢者だからこそできる介護の在り方や仕事のやりがいをしっかりと伝えていこうと思っています。その他、日経MJなどメディアにも取り上げていただき、各方面からの問い合わせも増えてきましたね。まだまだ数字上の成果としては表れていませんが、ビジネスモデルの確立に向けて、着実に前進していると感じています。

重松様

今後の目標や、事業展開についてお聞かせください。

2025年をひとつの目処として、まずは西日本で105教室を開校し事業モデルを確立することが目標。そこをクリアした後は、さらに10年後を目標に全国へと展開していく予定です。私たちがめざすのは、介護人材の育成・輩出を通して、日本の福祉の未来を支えること。そのためには、当社だけで出来ることは限られており、行政や介護事業者のご協力はもちろんのこと、リソースと機動力を持つ大手企業にもどんどん参画していただきたいと考えているのです。

重松様

それはライバル会社との競争を促してしまうことにならないでしょうか?

当社にとって、この事業の最大の目標は社会貢献なのです。それは、過去2度起業して失敗し、苦労してきた中で自然とたどり着いた結論。自分だけが得をしたり目先の利益を追い求めるビジネスは、一時は儲かったとしても長続きすることはないと考えるからです。

仕事というものはいかに社会に貢献していくかということ。社会に必要とされ、社会をより良く変えていくことが、事業の成功と発展につながっていくのだと確信しています。 特に、介護や福祉は一民間サービスの枠に留まらず、業界全体、ひいては社会全体で構築していかなければならない重要な制度です。そういう意味で、さまざまな企業と競争するというよりは、いかに協力し合って日本の福祉のより良い未来を考えていくことが重要になるでしょうね。

そのためにも、当社の事業モデルがその突破口となり、適正な収益を上げていくことで持続できる仕組みを確立することが急務。まだまだ挑戦は始まったばかりですが、大きな夢が広がりますね。

重松様

最後に、これから起業をめざす方、事業のアイデアを持ちながらも一歩踏み込めない方に、先輩としてエールをお願いします。

起業すれば、失敗や挫折、苦労など、これまでに味わったことのないさまざまな経験をすると思います。でも、失敗や苦悩のなかでしか勉強できないことがたくさんあって、それは将来、必ず自分の血となり肉となるはず。失敗を恐れて立ち止まってしまえば、そこで終了です。ぜひ、いろんなことに挑戦し、多くことを学んで欲しいと思いますね。

そのひとつが、大阪トップランナー育成事業への応募です。私自身がそうでしたが、自分が考え温めてきた事業のアイデアを、客観的に判断するのは難しいもの。応募して客観的な評価を仰ぐことで、自分の事業は本当に世の中に通用するのか、成功するために必要なこと足りないことは何なのか、今の自分の立ち位置を知るという意味でも大きな意義があります。

そして、選考段階で自らの事業をブラッシュアップしていく過程が、貴重な学びの場となるはずです。 まずは自分自身を世に問い試してみる。もしダメだったとしても、今の自分を知ることは次に進むための大きなチャンスと言えます。勇気を出して一歩を踏み出せば、自然と未来が広がっていくでしょう。

企業DATA

超高齢化社会を担う介護人財の輩出と育成を使命とし、介護資格スクールの企画・運営および介護人財の有料職業紹介事業を展開

株式会社SIM
代表取締役 重松 和孝